同級生の友人で、K氏がいた。
彼は、熱狂的なゲーム好きで、時々、学校をさぼって家でゲームに熱中していた。
現代のニートの姿を、80年代から先取りしていたような男で、ゲームで分からないことがあれば
K氏に聞けば分かるという感じだった。
学校の成績は非常に悪く、学年では最下位を争うのが常であった。
K氏も、
「255階」に夢中になった男だった。彼は、
「255階」について、こう語っていた。
- 隠れたボスがいて、そいつを倒すと別のモードが出現する。
- 「255階」にいるイシターが、ローパーのように変身して、ギルに襲い掛かる。
- 全く別の形をしたナイトが存在する。
- 足の素早いローパーが存在する。
- 剣を持っていない、ブラウンナイトが存在する。
彼を立ち合わせ、検証したものの、彼が主張するようなゲーム展開が得られないのにも関わらず、
「本当だ、本当にあるんだ」という、一点張りの主張を繰り返していた。
学校が違う塾の友人で、N氏がいた。
彼は、成績優秀な努力型の秀才で、とにかく成績が抜群に良かった。
彼もゲーム好きな男だったが、遊びと勉強の両立が上手く、成績が下がることは全く無かった。
だが、秀才型にありがちなスポーツが不得意という方程式は、彼にも当てはまった。得手不得手は誰にでもあるものだ。
N氏も、
「255階」に夢中になった男だった。彼は、
「255階」について、こう語っていた。
- 隠された宝物が「255階」の各フロアにはあり、その効果は多岐に渡る。
- 星の形をした宝物があり、取得するとギルが無敵になる。
- 「FLOOR P5」をクリアすると、3番目の隠された、「真のエンディング」を見ることができる。
彼の主張する内容は、どれも真実のように感じた。成績が良かったので、話の仕方がとても上手く、
どの内容も本当の話に聞こえた。教わる度に、聞いていた内容が少しずつ変化していったことに
一抹の不安と疑念を抱き始め、追及するものの、
「全て本当である」という主張を繰り返していた。
某雑誌に、
「FLOOR P5」の最上階にいるとされているキャラクターの画像が掲載されていた。
- 不可解な形をしたクリスタルロッドが、迷路内にある。
- 色の異なるイシターが座っており、カイと思われる石がある。
- 形の異なるオレンジナイトがいる。
- 形の異なるパープルナイトがいる。
- カギと扉がフロアには存在せず、真実の最上階と紹介。
この記事がきっかけで、友人の間でも話題となり、この雑誌の購入者が続出。
記事の内容を頑なに信じて、プレイを続行しましたが、結果的に、
「そのようなキャラクターの存在は確認できませんでした」。